作品が出来るということ

この夏の第61回台東書道展の作品を仕上げた。
と言うよりは時間切れになった感じがする。
もう少し、どうにか為らなかったのか、という気持ちがどこかにある。
だが、作品を仕上げるときはギリギリまで粘っても、それが最高の出来になるとは限らない。
締め切り間際の、ほぼ完徹に近い明け方に出来上がった作品よりも、前の週の日曜の昼間にひょいっと書いた作品の方が、出来が良い事だってあった。
作品の出来上がりというのは、右が常に上昇する直線のようなものではない気がしている。
つまり、書いた量と作品の質が比例して上がるような気はしない。
かと言って、練習しないで作品と呼べるようなものが出来上がるような腕前は持ち合わせていない。
書かなければ、見られるようなものは出来上がらないし、練習すればそれなりに見られるものになっていってる気がする。
平均移動線を取ると右上がりなのだけれど、途中の通過点に於いては上がったり下がったりの、ぐねぐねした曲線で作品が出来上がっていくようだ。
だけど、いつまでもひとつの作品にこだわるわけには行かない。
締め切りが近くなったらどこかで、見切らなければならないと思う。
つまり、締め切りが無かったら、作品なんて出来上がらない、という逆説なのだと思う。

ともあれ、台東展の作品が出来上がった。
今回は先生より戴いた額を使うため、半切の幅、3/4の長さの紙面である。
初めて書いてみる大きさであり、どうも勝手が掴めなかった。
結局、14文字2行書きで、無難にしてしまった気がする。
3行のほうが面白くなり得たのかもしれない。
いずれにしても、想像力と創造力が足りなかったのだと思う。
とりあえず会場で出来栄えを確認してみたい。

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