TOKYO書2014展

昨年も行っていた各公募団体の新鋭作家が、一人10メートルの壁面に作品を展示する、という企画展を見てきた。
今回は、全18団体から38名の先生方が出品している。
私が所属する書海社からは、大野渓堂先生と戸塚光胤先生が出品された。
流派も異なり、様々な書体と、様々な大きさの作品が並び、それらを一言でくくるのは何の意味もないだろう。
古典派から前衛派、漢字にかなに近代詩文に墨象に篆刻、ひとことで書といっても、その領域の広さがこの展覧会そのものになっている。
キュレーターとしての東京都美術館という位置づけで、諸団体の現在を伝える、そんな展覧会を目指しているのだろうと思う。

各先生方の作品について、ここで何かを言うべき言葉を私は持っていない。
書の素養も未熟であり、評論家ぶった見識も持ち合わせていない。
だが、展覧会場でひとつ思ったのは、紙と墨が筆を接点として交差し、そこに書が生まれるのだけれど、その音が聞こえる作品があるように思った。
運筆の速度や、墨の潤渇や、穂先の硬軟によって、その音は変わるだろう。
必ずしも渇筆だから音がするということではない。
太い筆で書いたからといって音が大きいということでもない。
(実際は、大きな音がしているのだろうけれど)
白文読みはできないけれど、目で字を追ってゆくと、筆が動き、紙の上を滑ってゆくその瞬間の音が聞こえるような作品は、あるのだと思った。
年初よりよい刺激を受けたと思う。


  • 会期 : 平成26年1月4日(土)~16日(木) 9:30~17:30
  • 会場 : 東京都美術館 公募展示室 ロビー階第1、第2


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