淡墨

今まで試したことの無い表現について考える。
そういえば、淡墨で書いたことはない。
それは師匠も、周りの先生方も、使ったのを見たことが無いからだ。
淡墨とは、書いて字の如く、淡い墨、つまり、薄墨を使うことのようだ。
だがその薄墨の作り方にも、幾つかあるらしい。
ひとつは、濃墨を作り、薄める方法。
またひとつは、最初からあまり墨を磨らずに、薄いままに使う方法。
さらに、磨った墨を寝かせて分離させる方法で、むしろこれは宿墨と言うようだ。
いつもは濃墨で、紙質や運筆の速度に拠って、にじみやかすれを出している。
しかし、淡墨の表現では、最初からにじみを前提として、書かねばいけないのだろう。
そう考えてみると、ここにも一朝一夕には会得できない奥深さがあるようだ。

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