新しい墨を下ろす

新しい墨とは言っても、かれこれ10年以上前にまとめ買いした鉄斎墨である。
一丁800円程度だったと記憶している。
ところで墨は枯れると深い色が出るという。
古墨という。
新しい墨に比べ、黒の深みが違うらしい。
そう聞いて、清代の数万円すると墨を買ってみたくなった事がある。
確か神田小川町の清雅堂のカタログで見かけた。
だが墨は磨ってしまえば無くなる。
自分の腕前では、その墨で書いた作品が必ずしも良いとも限らない。
ならば、買った墨を寝かせておけば、いずれ古墨にはならないかと考えた。
100年は無理だろうが、数十年程度なら可能ではないか。
そうしてこの鉄斎墨は、しばらく取ってある。
10年でどれぐらい変わったのか、あるいは変わらないのか。
良い色が出るのか、膠が変質したりしているのか。
下ろすのがちょっと楽しみである。

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