清親と安治

先日、ぶらりと東京国立博物館に行ったついでに、ミュージアムショップを眺めていて、こんな図録を手に入れた。
幕末~明治の浮世絵師、小林清親、井上安治の展覧会の図録である。
山口県立萩博物館・浦上記念館、平成24年9月6日発行とある。
副題にあるように、明治初期の東京の姿を写した浮世絵は「光線画」ともてはやされたらしい。
従来の浮世絵とは異なり、西欧絵画のような写実的で光や影を意識した画風が珍しかったのかもしれない。
井上安治は小林清親の弟子だが、26歳で夭折してしまっている。
二人の描いた東京は今の東京に似ているようで似ていないのに、どこかしら懐かしい感じがする。
和装の人も洋装の人もいて、人力車も馬車も蒸気機関車も走り、舗装されていない道には泥濘があって、水辺には帆船や猪牙船が行き交っている。
清親の「東京名所図」、安治の「東京真画名所図解」を眺めていると、あの辺りはこんな感じだったのかと面白い。
ちなみに表紙は、夜の新橋駅である。
 
前回の訪問時は、まだ桜が七分咲き程度だったが、今回は八重桜が満開だった。
八重桜のこれでもかこれでもか、といった感じで咲くのを好ましく思う。

ちなみに黒門に弾痕はなかった。 
何故なら、上野戦争の際、寛永寺の黒門に弾痕が残ったのだが、この黒門は寛永寺の黒門ではないのだった。
珍しく開いていたので、記念に撮ってみたが、光の加減がいまいち。
やっぱりデジカメを買うべきか、などと思ったりした。

 


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