古いブックマーク

パソコン、それもインターネットを使うようになって、30年近く経っている。
頻繁に買い替えていないが、それでも何台かのパソコンを使ってきた。
換えた後の設定で、ブラウザに保存したブックマークの移行というのがある。
インターネットという世界で、様々なサイトやブログを訪れて、興味を惹かれたところは何度も訪れるために、ブックマークに登録する。
仕事では、カテゴリー分けを行ったりするのだけれど、プライベートのものはそこまでは整理したりしない。
もう忘れてしまったが、何か理由があってか、このブックマークの移行をしていなかったりする。
ただ忘れていただけかもしれない。
ひょんな拍子に、推定で約10年前のブックマークを発掘した。
といっても、10年前のパソコンを動かしたのではなく、当時使っていたブラウザにログインしたら、クラウド上に保存されていたブックマークが復活した。
意外と名前を憶えているもので、懐かしくそれぞれのページへのリンクを開いてみる。
今も更新されているところ、はるか昔に更新が停止しているところ、そもそもページが無くなっているところ、売られて全く関係ないページになっているところ、それぞれだ。
それはまるで、昔住んでいた街を久しぶりに訪れたかのようだ。
誰かが作ったものが雑多に並んでいて、真偽の分からない怪しい情報、美しいデザイン、果てしない自分語り、雑多な広告、現実の世界の縮図を小さなディスプレイ越しに覗いているようだった。
街を歩くようにインターネットの世界を歩き回り、気になる場所に印をつけていく。
それぞれの情報の更新は一つの出来事であり、それらを丹念に辿っていく。
現実とは別のもの、よく似たものが並んでいる世界ができて、そこも日々変化していく。
そういえば、巡回ソフトなんて仕組みを作ってチェックしていた奴もいた。
やがて、インターネット上のコミュニティといわれるものが普及すると、モノ的な世界から、コト的な世界へ変化した。
何かを見て回る一方的なものから、ほぼリアルタイムに会話ができるようなものになって、同じ傾向の人は集まりやすくなった。
そういった変化は、突然訪れたのではなく、徐々に変わっていった。
そういえばこのブログも2011年から開始しているから、そんな古い時代の遺物のようになっているかもしれない。
だが、逆にブックマークを見ながら、まだここにいる自分に複雑な気持ちがよぎっている。
 

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