光を融かす器械 クラフトレンズTETTOR写真展

 
3Dプリンターで自作したレンズ「TETTOR」を使って色んな人が撮った写真、映像を展示するという展覧会。
このレンズを作ったのは、ポッドキャスト番組「Image Cast」の鉄塔さん。
出品者は以下の5名。
 tettou771
 島 猛
 Takuma
 橋本 麦
 ひつじ
レンズのスペックとしては60mm F1.4なので、標準画角の50mmより若干、望遠寄りだけどかなり明るいレンズだろう。
tettou771さんの鉄塔を撮った写真だと、その特徴が分かると思った。
被写体深度が浅くて、写真の中央はピントが合っているけれど、目で追っていくとすぐにボケ味が出てくる。
また色収差が独特なのか、青みが強調されているように思えた。
橋本麦さんはレンズの胴の部分を延ばしたり、ずらしたり、ビーズを入れたり、はんだごてで溶かしたりして、映像を作っている。
絵画でもない、いわゆる写真でも無いような不思議な光の軌跡が面白いと思った。
改造されたTettorと作られた映像を展示している。
Takumaさんは、Tettorで撮影した写真をいわゆる印画紙ではないものにプリントしている。
おそらく金属板か鏡のようなものにプリントしてあって、見え方が面白い。
ひつじさんは3Dプリンターで製作された生活治具とそのイメージ図とTettorで冊穢した写真。
なんだかふわっとした雰囲気の写真が印象に残った。
そして島 猛さんは、Tettorレンズを使った映写機という作品。
触って良いと書いてあったので、おそるおそるハンドルを回してループになったフィルムを観ていたら、鉄塔さんご本人から
「もっと勢いよく回した方が良いですよ」
と声をかけてもらい、作品の解説までしていただいた。
しかも、発電機が組み込まれているので、電源を切りハンドルを回すと自分の発電した光で映像が観れる。
スチームパンク風というか、MDFで作られた歯車がローテクな雰囲気もあり、がちゃがちゃと音を立てて映像を映し出す雰囲気がとても良いと思った。
また会場の片隅で、3DプリンターがTettorを作っているのも面白いなと思った。

会期は11/19~23まで。
会場は下北沢の砂箱というギャラリー。https://www.sunabako.jp/

良い刺激を受ける展覧会だった。 

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