六本木の駅を降りたのも何年ぶりだったか。
まだWAVEや青山ブックセンターがあった頃、六本木でしか手に入らないものを買いに行ったりした。
日常的に利用する場所でもなく、それほど馴染みがある場所ではない。
案の定、日比谷線を降りて地上に出てみても、方向が今ひとつわからない。
おそらくこっちだと当たりをつけて、坂を下って再び上ると「政策研究大学院大学」という見慣れない学校の隣に国立新美術館があった。
第40回読売書法展の特別展示である「名品でたどる文字文化、書の歴史」が愉しみで来たのだけれど、かといって読売書法展を素通りできるほどの力量があるわけでもないし、その膨大な点数の作品について語る言葉も持たない。
会場の最後のフロアが「名品でたどる文字文化、書の歴史」である。
そこには碑文から始まり清代の趙之謙、呉昌碩に至るまでの拓本や軸が並んでおり、また、印譜のみならず実際の印や、日本の藤原佐里、藤原行成などの古筆から良寛の屏風に至るまでの名品がずらりと並んでいる。
中でも、董其昌、張瑞圖、倪元路、王鐸、傅山の軸がケースに入っておらず、数十センチの距離で見られるというのは素晴らしい。
会場は作品保護のため薄暗く、作品にはわずかにスポットライトが当たっている程度だけれど、墨の色、筆致によるかすれなどが良く分かる。
ゆっくりと拝観し、外に出ると、やはり見慣れない六本木の街があって、第二会場の東京都美術館に向かうべく早々に地下鉄の乗った。
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