第74回台東書道展を振り返る

第74回台東書道展も無事に終わり、一週間が経った。
会期は7月27日~8月2日だったけれど、だいぶ前のことのようにも感じる。
記憶と写真で辿ってみる。

運営委員会(6/26)

運営委員会の日も良い天気だった。
めぐりんで台東区役所まで行き、歩いて東上野公民館へと向かう途中、入谷神社の大鳥居に寄り道をした。
スーツケースを転がしてる観光客が多くて、人が写り込まないアングルと瞬間が難しい。
展覧会の開催に向けた運営委員会では、今年の出品点数が分かり、当番、受付等の予定が分かる。
係の先生方と認識合わせ、去年の反省を踏まえた意見出しなど、サラリーマンとしての仕事とあまり変わらないことをやっているような気もする。
肝心の作品については、昨年より若干点数が多いが、まぁ同じレイアウトで行けるだろうか、と考えていたが、教育部の展示スペースをを広げる提案があり、話し合いによりレイアウトの変更が発生した。
出品票を預かり、壁面のレイアウトを再検討することになった。
出品票をざっと見て、壁面の検討をするが、なかなかこれで行けるのか判断が難しい。
どの作品をどこに置くのか、作品のサイズ、作品と作品の間隔など、その場にならないと分からないことも多く、たぶん大丈夫だろうという状態で、壁面の図面を準備した。

搬入・審査(7/23)

7月に入って猛暑の中、いよいよ作品の搬入が始まる。
搬入は東京都美術館の地下3階で、関係者以外立ち入り禁止の場所である。
通常の作品は表具屋さんが一括で搬入するが、小品は先生によって表具屋さんだったり個人搬入だったりする。
また、表具屋さんも何社かあり、各社が預かった作品を搬入し、受付でチェックを行う。
人も多く、物が行き交い慌しい。
そんな中、運営委員会でお会い出来なかった先生に、搬入時にお会いした。
午前中に搬入が終わり、午後は搬入スペースの奥の部屋で審査が行われる。
教育部も一般部も、対象作品が並べられて、審査員の先生による投票が行われて入賞が決定する。
このスペースが見れるのも、残り少ない。
また、美術館の裏を走っている京成電車の通過音が、かなりの大きさで響いてくる。

陳列(7/26)

そしていよいよ陳列の日を迎えた。
この日も朝から暑かった。
壁面の配置は、搬入の日にマキノ商会さんに伝えており、当日はその確認から始める。
地下の搬入スペースから作品が会場に運び込まれ、お手伝いの方が集合する。
開始時間になり、理事長の挨拶が始まり、陳列担当として当日の段取り、注意事項などを説明する。
昨年と会場のレイアウトが異なっていることを、図面で説明するが、なかなか難しい。
段取りとしては、入賞作品、審査員、鑑査員、公募作品の順に陳列を決めていく。
小品、海外作品、教育部はそれぞれのスペースを決めているので、その中の調整となるが、小品と公募作品、公募作品と鑑査員、鑑査員と審査員、それぞれの境界は配置状況で変化する。
今年は幸いなことに、受賞作品の収まりが良く、また審査員の配置も早く決まった。
小作品は2段掛けになるのではないかと予想していたが、小作品のコーナーを担当していただいた先生から1段で行けそうだと伺い、鑑査員と公募作品の調整となった。
だがこれが案外難しく、担当の先生を始め。諸先生のご意見を伺って、予定よりも早めに片付いた。
教育部、海外作品のコーナーも、程なく無事に展示の準備が整った。
各先生に観ていただき、美術館側の点検があり、最後、誰もいない会場を独りで確認しながら歩いていると、いよいよという気がしてくる。

開催(7/27~8/2)、授賞式(8/1)

翌日の7/27からいよいよ展覧会が始まった。
ロビー階の案内表示はこんな感じで、矢印の先にあるエレベーターで2階に上がる。
初日は午後から会場に入り、受付のお手伝いを行う。
受付のカウンターから、窓越しに上野の森の様子が見える。
会場内の様子は、著作権の関係もあるので、撮影は控えた。
会場の一番奥の重いスライドドアを開けると、上野動物園に向かっている休憩室がある。
木々が近いので木漏れ日が差し込んでいる。
窓の外のちょっと離れたところに、レンガの門柱が立派な上野動物園の旧正門が見える。
初日は400人超の方に来場いただき、平日でも約150人の方々に来場いただいていた。
今回、なるべく土日の都合の付く限りは会場にいるようにした。
受付に座っていると、お子さんが出品されているのか家族連れの方、時には3世代でご来場いただいたり、ふらっと観に来たような外国の観光客(しかも、欧米系)の方、様々であることが分かった。
8/1は授賞式である。
不忍池の向かい、池之端の東天紅にて開催された。
受賞者が到着する前の会場の様子はこんな感じである。
授賞式も滞りなく進行し、終わった後でみんなで写真を撮っている子供たちの姿が印象的だった。
授賞式の後は、部屋を変えて懇親会である。
窓の外には夕闇に沈んでいく不忍池の弁天堂が見える。
呑んで食べて話をして、帰り道の記憶が曖昧になった。
8/2は最終日で、1週間の会期はあっという間だった。
大きな天気の崩れも無く、逆に猛暑の中、最終日の15時の閉会まで多くの方に足を運んでいただいた。
ざっくりの概算で、延べ1,000人以上の方にご来場いただいた。
15時の閉会が終わると、作品の搬出が始まる。
壁にかけられていた各作品が取り外されて、もとの白い壁に戻っていくのを見ると、展覧会そのものが、一つの大きな作品だったような気がする。
しかも一人だけではなく、諸先生方、お手伝いの方、業者の方も含めた共同作業で作り上げた作品なのだと思う。

最後に自作の作品を。
元好問の「渡端江」という詩である。

※作品の写真以外はInstagramで公開済。Instagramアカウントはこちら https://www.instagram.com/wahow_kobayashi/

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