2020/01/12

文徴明とその時代展

文徴明は明代の書家であり画家である。
その真筆が観られるということで、東京国立博物館に行ってみた。
しかし、去年の顔真卿展のように看板が出ていない。
もしかして、会期を間違えたかとポスターを探す。
東京国立博物館は門外にミュージアムショップがあり、そこでポスターを見つけると、どうやら企画展ではなく東洋館の常設展の一部に展示があるようなので、通常の入場券を購入して入場する。
本館では、高御座の展示があるようで、行列が出来ている。
正門を入って右手が東洋館である。
本館が荘厳な建物であるのに対して、東洋館はちょっとモダンな雰囲気があると思っている。
どうやら「人・神・自然」というテーマの展示もあるようだ。
入って直ぐにあったのは、中国の石仏の数々である。
正直なところあまり興味はないが、実物を見るとなかなか面白い。
ぶらぶらと観てるうちに、ちょっと欲しくなってくる。
階段を上ると 「人・神・自然」というテーマで、彫刻、装飾品、器や木乃伊まで展示されている。
古代ギリシャ、古代ローマ、エジプト、ペルシャ、メソポタミア、スキタイ、バクトリア、中国、マヤ、オルメカ、シカンと、古代世界の文物がテーマ別に並べられている。
普段はお目にかかれないものばかりで、ちょっと面白い。
更に上がっていくと、今度は中国の青磁や天目茶碗など、陶磁器類が並ぶ。
改めて思ったのだが、椀、皿、壺、陶磁器類を観るのは、案外、楽しい。
その上が、いよいよ文徴明の展示である。
ちょっと勘違いしていたのは、文徴明が多数を占めていると思いこんでいた。
実際は、文徴明の生きた明代の蘇州の他の書家や画家も多く展示されている。
文徴明の真筆だけでなく、董其昌の軸、祝允明の巻なども観れる。
そして、画家としての文徴明の作品もある。
ぐるりと一回りし、上がっていくと、中国の漆器である。
特に元代の漆器の色、形のモダンさに驚いた。
そして、朝鮮のコーナーがあり、高麗青磁の水滴や軸など、これまた珍しいものが観れた。
最上階まで観たので、1階に戻り、地下に行くと、今度はクメールの仏像である。
中国の石仏とは、また違った趣きがある。
そして、ベトナムやタイの陶磁器、トルコの絨毯、インドの細密画など、アジア全域の珍しいものが観れた。
でも、書が観足りないので、そのまま書道博物館へと向かう。
東京国立博物館を出て、裏に歩いていく。
坂を降りて、山手線を越えると、根岸である。
南口に出るので、駅前を抜けていくと、書道博物館である。
今回の展覧会は連携企画なので、国立博物館の半券を持っていると、独りでも団体料金で入れる。
同じ企画だがこちらは、書画コレクターとしての面や日本への影響といった視点での展示も面白い。
そして、元代の書家、趙孟頫の真筆が観れた。
また、企画独自のキャラクターを設定し、解説が充実していると思った。
子供でも分かるように、工夫をしているのだろう。

こうしてみると、大きな幅は少ないものの、多くの真筆が観れる企画展であった。
そして、国立博物館は常設展の中、アジアの諸文化の中の書画、そのさらに代表例としての文徴明という、謂わば広く浅く捉えているのに対して、 書道博物館は文徴明の影響力を紹介する、深く掘り下げていくといった違いがあると思った。
そして、やはり真筆を観ることはとても刺激になる。
文章全てを読めるほどの教養はないが、起筆から終筆までの細かな筆使いを辿っていくだけでも、とても勉強になる。
そして、500年前の墨の色がとても美しい。
以前に比べると図録の質も向上しているのだけれど、やはり真筆の墨の色というものは違うものだと思う。
どちらの展示も面白く、見ごたえがある企画だと思った。

2020/01/01

Happy new year 2020


This is a New Year's card.
In Japan, we send New Year's greetings by postcard to the close people ,and the people who helped me, and old friends.
I also send New Year greetings to those who are reading this blog.

The right edge of the kanji three characters,  "風花香", is the phrase of the old Chinese poet.
It means that the wind blows and carries the scent of flowers.
Beautiful spring scenery reminds of a calm world.
I made a opus with hopes that the new year will be a good year.

For everyone, as it will become a good one year, I hope.
Thank you.


これは年賀状です。
日本では親しい人、お世話になった人、古くからの友人に、葉書で新年の挨拶を送ります。
私は、このブログを読んで下さってる方にも、年賀状を送ります。
右端の漢字3文字は、"風花香"で古い中国の詩人の言葉です。
それはこんな意味です、風が吹いて花の香りが漂ってきた。
麗らかな春の景色のような穏やかな年でありますよう、新しい年が良い年になるよう期待を込めて、この詩句を書きました。
みなさんにとっても、新たな一年が良き年になりますように。
ありがとうございます。

2019/12/14

2019年を振り返る

例年の通り、1年の反故を整理した。

今年は大きな作品を書いたので、ちょっと大量である。
比較のため手前に三省堂の新明解国語辞典を置いてみた。
練習の反故なので、酷い字ばかりである。
出来上がった作品はどうだったか。
夏の展覧会も冬の展覧会も、書ききった感じがしている。

だが、毎月の課題では、ちょっと足りてなかったようだ。
そしていつも時間が足りないと思っているが、今年はそれなりに書くことは出来たように思う。
書くことは出来たが、あともう一歩が足りない感じがするのは何故だろう。
更に何かを何処かへ移していく必要があるのかもしれない。

今年も読んでいただいた皆さんに感謝します。


2019/12/03

脱稿

今年は書海社展に出品したいと思ったので、久しぶりに二八の三枚組を書いた。
文字数にして180文字。
Twitterの投稿が80文字以内と比較すると、大したこと無いように見えるかもしれない。
だが、撰文し、文字を調べ、草案を作り、作品に仕上げるのに約3ヶ月弱だったろうか。
そして、久しぶりに書いてみると、全く書けなくなっている。
3枚の構成なんて全く思いもつかない。
ただ、文字を並べるだけの状態が続き、しばらくもがいているうちに、そこから作品の種が生まれる。
そしてやっと書き上がった。
出来はどうだか分からないが、ともあれ、出来る限りをやった気はする。



2019/10/26

字統

「字統」は字源辞典である。
白川静博士の編纂によって、漢字の成り立ちだけに特化した辞典である。
中国には説文解字から康煕字典に至る伝統的な字書がある。
例えば、日本の多くの漢和辞典でも採用されている部首とその順序は、康煕字典に依っている。
しかし漢字の意味、成り立ちについては誤りも多く、それを補足するように様々な注釈が存在している。
白川静氏は漢字の起源、文字の成立に遡って意味を探り、その字形の系列から研究する文字学を唱えている。
20世紀以降発掘された多数の甲骨文資料を踏まえて、漢字が文字として成立した古代中国の世界観を捉えているため、説文解字が漢字の起源とした篆書よりさらに数千年前に遡って漢字の成り立ちを捉えているということである。
この辞書は調べるための辞書というより、読むための辞書だという。
収録されているのは、約6,800字。
ぽつぽつ拾い読みしてみると面白いが、いつ読み終えることができるやら。



2019/10/06

漢字のなりたち展(大人向け)

6月から開催している「漢字のなりたち」展に再訪した。
というのも、9月下旬に入れ替えがあったのだ。
長い会期の展覧会ではよく行われていて、入れ替わるとしても数点、多い展覧会でも全体の3割程度と思っている。
なので、高をくくって、何かのついでに立ち寄って、ざっと30分程度で入れ替わった展示だけ観よう、そんな風に考えていた。
丁度、書海社の同人総会が夕方にあり、若干早めに家を出れば、余裕で拝観できると考えた。
ついでに髪と髭を整えてもらって、小ざっぱりしたところで向かって着いたのが、閉館30分前だった。
慌てて入館して、観始めたところで後悔は始まった。
同じ名称の展覧会なのに、展示物が殆ど入れ替わっていた。
観たことのない甲骨文、金文、拓本が並んでいた。
むしろ通期で展示してあるもののほうが少ない。
閉館時間を気にしながら、何とか観終わったものの、ちょっと消化不良感は否めない。
近いうちに再々訪せねばなるまい、そう思いながら総会へと向かったのである。

(恙無く同人総会に出席し、その後の懇親会では、たらふく酒を呑んで、諸先生方にご挨拶申し上げたのだった。)

2019/08/31

至字

冬の展覧会に向けて準備を始めた。
最近、使い慣れた筆が次々と割れてしまい、使い物にならなくなった。
消耗品なので仕方ないのだが、それなりに高いので、なかなか買いにもいけない。
頂いた筆も何本かあるのだが、もったいないのと使いどころが見つけられずにいる。
ともあれ、毎月の課題に使う半切の紙も切れるので、買いに行ったついでに筆も見てみた。
唐筆なので太さの表示はないが、恐らく3号から4号ぐらいか。
でも、和筆の号数も、筆毎に違っているので、おおよその目安ぐらいのものだ。
ともあれ、しばらくまた使ってみよう。